家相とか鬼門とか風水とか。
気にしすぎると家づくりは高確率で失敗するぞ!というお話です。
実際、家相や鬼門、風水を気にしすぎて失敗したと嘆いているブログ記事や書き込みを散々見てきました。
かくいう私も、実は少しだけ気になって家相について色々と調べた口です。でもですね、調べれば調べるほど、違和感をおぼえるのです。
現代には合っていない古い考え
が、とても多いのです。
日本において、家相が一般に普及しだしたのは江戸時代。武家屋敷や豪商、豪農の屋敷を建てる際に、当時の建築事情に沿って考案された、いわば当時の建築基準法のようなもの。
現代の日本は厳しい建築基準法がありますが、当時はありませんでした。
ですから、当時の敷地や建築様式、生活習慣に合わせ、家を建てる際はこんな事に注意してくださいというものが、家相です。それを迷信として指針としたに過ぎません。
確かに当時の生活環境、生活様式、敷地、建築様式に照らしてあわせて家相の考え方をみてみると、符合する点が多々あります。ひとつひとつの家相、鬼門などのいわれを考えると、なるほど理に適っているものが多いです。
しかし、それは現代には全く当てはまりません。現代の敷地は狭いし、建築様式、工法、生活習慣も違いますし、衛生状況も格段によくなっており、もう既に符合する点はほとんどありません。
例えば、北東の角に厠(=トイレ)を配置するは凶という鬼門は、昔は汲み取り式の便所でああったからと言われています。一日の内で最も日が当たらない場所に湿気を溜める厠は、家を早く傷めますよということだったのでしょう。現代では下水や浄化槽が普及していますので、全く関係無いですよね。
また、北の厠が凶というのは、昔の厠には地窓(床に位階位置の窓)があったりして北風が隙間風で入ると寒く、また力むから脳溢血とかになりやすいから健康に良くないという意味です。現代の家は、当時よりも気密性も断熱性も高く、この点においても問題無い家が大半でしょう。そもそも、トイレに地窓なんて付けませんよね。
他には、、門と玄関が一直線は家が滅ぶので凶!などというのは、武家屋敷において敵が攻め易いからです。家の中心に階段があるのは主人が早死にするから凶という家相は、昔は大黒柱で家を支える工法ですから、面の中心に階段があり、軸となる大黒柱が中心からずれていたら力学的にバランスが悪く、家に無理な加重がかかります。それを避けるためです。現代では大黒柱の工法はほとんどありませんし、ツーバイフォーなら柱自体がありません。
この様に、当時としては良く出来た理に適ったものですが、現代では当てはまりません。
先人の知恵を活かすことはどんな場面においても良いことだと思うのですが、古く使えなくなった情報なのに盲目的に信じて、無理に当てはめようとするのは間違っていると思います。
限られた敷地に限られた予算で、限られた規模の家をたてるのですから、たくさんある鬼門を全てクリアするのは無理があります。大切なのは家相(鬼門)より、住む人の使い勝手が良く、快適に過ごせることでしょう。
そこに長く住むのは誰?
新築するにあたって、家相や風水のアドバイス?みたいなお節介をしてくる人って結構多いみたいですね。そういう人の大多数は建築の素人でしょうし、本当に家相や風水に詳しいかというと、これまたどこかで聞きかじった程度の浅い知識しか持っていない人がほとんどでしょう。そんな方々のアドバイスが、はたしてどの程度役に立つのでしょうか?参考になることもあるかもしれませんが、家を建てる場所の立地条件や家族構成、生活導線や家事導線など、実際に住むことをイメージしながら、時間をかけて真剣に考えてくれるのでしょうか?
ここで大事なのは、実際に長く住むのはアドバイスしてくれた方々ではなく、貴方たち家族です。ご丁寧にアドバイスをしてくれる方々はよかれと思ってアドバイスしてくれているのかもしれませんが、そこに実際に住むわけではありませんし、そのアドバイスを取り入れて後悔したとしても、責任もなにもありません。決めたのは貴方。お金を払うのも貴方。
ですので、迷ったら自分の意見を信じましょう。一生に一度の可能性が高いマイホームの新築です。他人の意見に委ねず、最後は自分たちで決めましょう。
しかし、身内に家相や風水をかなり信じてる厄介なお節介さんがいたら面倒ですよね。そういうときは、ひとまずハイハイと聞いておいて、実際建てるときは自分たちの考えを優先しましょう。そして、建てた後も適当にかわしましょう。
「玄関、お義母さんのアドバイスどおり明るくしたんですよ~♪」
「トイレは鬼門を避けたんです~♪(鬼門を意識せず好きな間取りにしたらそうなっただけw)」
「家相に超詳しい人がいて、いろいろと見てもらったんですぅ~♪(嘘。個人の家相ブログを少し見た程度ですw)」
こんな感じで、ちゃんとアドバイスを取り入れました感を出してあげれば、うまく収まるのではないでしょうか。
ただし、中にはまともなアドバイスもあるでしょうし、新築ハイになっている貴方を諌めるためのアドバイスの可能性もありますので、それを受け入れる謙虚さも大切だと思います。
長くなりましたが、家相や鬼門はあくまで参考程度にとどめ、プロの設計士さんなどにアドバイスをいただきながら、良い家を建てたいですね^^
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